米大統領、対中制裁決定=知財侵害で関税5兆円-貿易戦争の恐れ

トランプ米大統領は22日午後(日本時間23日未明)、通商法301条に基づき、中国の知的財産権侵害に対する貿易制裁の発動を決定した。中国からの幅広い製品に年500億ドル(約5兆3000億円)規模の関税を適用する。中国は報復を辞さない構えを見せており、米中の二大国が「貿易戦争」に突入すれば世界経済の大きな不安材料となりそうだ。
米大統領は昨年8月から中国との貿易の実態調査を進めてきた米通商代表部(USTR)に対し、制裁対象になり得る製品のリストを15日以内に公表するよう命じた。米政府高官は、米国が通商法301条による制裁とは別に、中国を世界貿易機関(WTO)に提訴する可能性があることも明らかにした。
米商務省によると、米国の2017年の対中貿易赤字は3752億ドル(約39兆9000億円)と全体の半分を占め、過去最大を記録した。USTRは、中国に進出した米国企業が技術移転を強要されている慣行などが知的財産権の侵害に当たるとして問題視している。
トランプ政権は、対外貿易赤字の是正を公約に掲げており、実際に制裁を発動することで、最大の赤字相手国である中国を関税の引き上げなどで狙い撃ちにする構えだ。
通商法301条は、「不公正貿易」があると判断した際、大統領の権限で制裁措置が取れると定めている。
日米貿易摩擦が激化した1980年代には、措置の発動をちらつかせて対日通商交渉で譲歩を引き出す手段として使われた。
トランプ政権は、通商拡大法232条に基づき、安全保障上の脅威を理由にした鉄鋼とアルミニウムの輸入制限も23日未明(日本時間同日昼)に発動する。日本は輸入制限の除外対象にならず、新たな関税率が適用される。こうした制裁を目的にした一方的な措置はWTOルールに抵触する可能性が高く、保護主義色を強める米国と貿易相手国の溝は深まりそうだ。