景気、公共事業に依存=過剰能力削減、後回し

中国の1~3月期の経済成長率が6.9%に加速し、6期ぶりの高い伸びとなった。最高指導部が大幅に入れ替わる共産党大会を秋に控え、習近平国家主席(党総書記)は経済の安定を第1に公共事業拡大で景気下支えを図る。構造改革の柱である過剰生産能力の削減が後回しになる可能性もあるが、景気最優先の政策は少なくとも秋まで続きそうだ。
◇貧困区を再開発
「政府のおかげで、無償で新しい住宅が手に入るし、高級車も買えるほどの補償金だってもらえる」。北京市郊外の農村に住む男性(53)は満面の笑みを浮かべた。老朽化した住宅群を建て直し、再開発するプロジェクトが背後で進行中だ。
再開発を終えた近くの村には、真新しい集合住宅が立ち並ぶ。平日の昼下がり、住民は卓球やビリヤードを楽しんでいた。無理して稼ぐ必要がなくなった人も多く、皆、表情は明るい。
全国で展開中の再開発プロジェクトは、表向き貧困層の生活環境改善が目的だが、景気対策の側面も大きい。補償金で消費が促されるほか、建設には鉄鋼、セメント、ガラスなど、過剰生産能力を抱える業界の製品がふんだんに投入される。
3月の粗鋼生産量は前年同月比1.8%増、セメントは0.3%増、板ガラスは5.0%増。赤字続きのため政府が倒産に追い込もうとしていた「ゾンビ企業」が息を吹き返しており、構造改革の後退とも指摘される。
◇河北省に新都市
中国経済は高度成長の時代が終わり、安定成長に向けて「軟着陸」を模索する段階に入っている。昨年の成長率は6.7%と26年ぶりの低い伸びにとどまったが、政府は今年の目標をさらに低い「6.5%前後」に設定した。
ただ、この目標達成は容易でない。中国は先進国のように個人消費がけん引する成長モデルを目指すものの、道のりは遠く、公共事業による支えなしでは目標を実現できない。
党・政府は、北京に隣接する河北省に新都市「雄安新区」を建設する計画を発表。北京への人口集中による各種弊害を和らげるのが目的だと説明する。だが「経済成長の原動力としたい思惑も間違いなくある」(専門家)。
新都市は最終的に、東京都に匹敵する2000平方キロの面積を想定しており、人口は200万人以上となる見通し。ハイテク産業を中心に企業を誘致する方針で、外資の進出も予想される。
党・政府はこの計画を「千年の大計」と呼び、国内メディアを総動員した宣伝を始めた。中国経済の潜在力が十分あることを内外にアピールしている。