中国の出稼ぎ労働者、地元就職希望が増加

中国で大都市に出て働く地方の出稼ぎ農民(農民工)が減少に転じ始めた。賃金は低くとも、地元で職を探す方が生活コストが安く、家族と暮らせることなどが理由。中国政府が発表する都市化の数字についても、実態にそぐわないとの見方が広がっている。12日付の中国紙、21世紀経済報道が報じた。
それによると、2016年の農民工の数は前年比1.5%増の2億8171万人。ただ、地元の郷鎮(町村)を離れ、遠方で働く「外出農民工」は0.3%増の1億6934万人にとどまった。人的資源・社会保障省の張義珍次官によると、同省調査では17年1~3月の外出農民工は前年同期比2.1%減少したという。
中国社会科学院農業所マクロ室の李国祥・副主任は、通年で減少に転じるかはまだ判断できないとしつつも、地元での就業希望が増えていることは、地元での就業機会が増えていることの裏返しだとの見方を示した。
南開大学社会建設・管理研究院の関信平教授は、多くの都市では戸籍管理が厳しいため、農民工が市民と同等の福利厚生を受けるのが難しいと指摘。一方で、地元では都市と農村の公共サービスの一体化が進み、遠方に赴くメリットが薄らいでおり、地元に近い中小都市で働く農民も増えているとの見方を示した。
農民工によると、都市に出たがるのは若者が、帰郷希望者は年配者が多い。50歳を過ぎると大都市では職探しが難しくなるのに対し、地元では比較的容易で、家族とも過ごせるという。
こうした状況を踏まえ、都市化の数字のあり方に疑問を投げかける専門家も出ている。外出農民工の減少に伴い、都市化の数字そのものが影響を受ける可能性があるためだ。
中国当局は20年までに都市常住人口比率を60%(15年は56.1%)に、都市戸籍人口比率を45%(同39.9%)に、それぞれ引き上げる目標を掲げている。
ただ、大都市の住宅価格高騰や、戸籍・人口管理の厳格化を受け、農民が従来の都市に転入する可能性は低下。一方で、地元での就業意欲は強まっており、将来、都市化ペースが鈍る可能性も指摘されている。
農村では土地の市場化に伴い、地価上昇期待などから農村を離れたがらない農民も増えているほか、交通機関の整備に伴い、農村に居住しつつ、近くの郷鎮などで就職する農民も増えている。
中国農業大学中国県域経済研究センターの張正河主任は、条件の整った郷鎮は「小都市区域」として、都市人口に組み入れることも可能だとの見方を示している。