中国「一帯一路」構想、ASEANに大きな恩恵 製造業分野で投資急増

 

中国はシルクロード経済圏構想「一帯一路」の下、対象地域に記録的な規模の投資を行っている。構想実現には地域の交易ルートで大規模な開発が必要となるためで、東南アジア諸国連合(ASEAN)は大きな恩恵を受ける地域になっている。19日付のシンガポール紙ストレーツ・タイムズ(C1面)が伝えた。
メイバンク・ キムエン証券のリポートによると、2016年のシルクロード経済圏への中国の非金融直接投資は145億米ドル(以下ドル)と、14年の125億ドルから増加した。中国の習近平国家主席は5月の「一帯一路」の国際会議で、同構想に関連してこれまでの900億ドルに加えて1240億ドルの追加投資を行うと表明している。
リポートによると、13年9月の構想発表後、ASEAN地域での中国企業による合併・買収(M&A)や、グリーンフィールド投資(投資先で新たに法人を設立して行う投資)が急増。投資の大半は製造業に集中し
ており、それに電力、建設、鉱業などの基礎的な産業が続いている。特にインドネシア、マレーシア、ベト
ナムが大きな恩恵を受けているという。
また、ASEANは05~16年のシルクロード経済圏での中国企業が絡んだM&A投資の約30%を占め
ており、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイが大きな利益を享受している。
特にIT・通信部門は中国の投資を引き付けており、中国電子商取引最大手、阿里巴巴(アリババ)集団
は昨年、東南アジア地域で展開するシンガポールのオンライン通販会社ラザダに10億米ドル(以下ドル)出
資し、過半数の株式を取得した。このほか、中国インターネットサービス大手・騰訊(テンセント)の、イン
ドネシアのバイクタクシー(オジェック)配車サービスGO-JEC(ゴージェック)への投資や、中国インタ
ーネット通販大手の京東集団(JDドットコム)によるインドネシアの同業大手トコペディアへの投資なども報
じられている。
一方で、数多くの事業破綻も発生している。中国海外投資追跡の報告書によると、10~15年に
2500億ドル以上の中国の海外投資が失敗に終わっている。ASEANでは、ミャンマーでのミッソン・ダ
ム建設プロジェクトが環境への懸念から中断に追い込まれた。中国家電大手、美的集団は南シナ海問題の
余波でベトナムから撤退した。(